うつ熱(こもり熱)に関するアンケート調査結果報告
回答者概要
回答者は患者の母親が185人(91.6%)で大半を占めました。回答は患者会会員を中心に集まっており、結果をすべてのてんかん患者や家族にそのまま一般化することはできません。
患者の病名
| 回答 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| ウエスト症候群(点頭てんかん) | 137 | 67.8% |
| ドラベ症候群 | 45 | 22.3% |
| 焦点てんかん(部分てんかん) | 9 | 4.5% |
| レノックス・ガストー症候群 | 5 | 2.5% |
| 自然終息性てんかん(薬剤反応性てんかん、中心・側頭部棘波を示す小児てんかん、良性てんかん、など) | 2 | 1.0% |
| 特発性全般てんかん(小児欠神てんかん、若年欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかん、全般強直間代発作のみを示すてんかん、など) | 2 | 1.0% |
| その他(自由記述を集約) | 2 | 1.0% |
回答者の続柄
| 回答 | 回答数 | 割合 |
|---|---|---|
| 患者の母親 | 185 | 91.6% |
| 患者の父親 | 15 | 7.4% |
| その他の親族 | 2 | 1.0% |
うつ熱の発生状況
うつ熱で困った経験があると答えた人は161人(79.7%)でした。以降のうつ熱に関する集計は、この161人を母数としています。
最も多かったのは8月の112人(69.6%)で、7月111人(68.9%)、9月99人(61.5%)が続きました。時期による違いがないとの回答は28人(17.4%)、時期を問わず常に困るとの回答は22人(13.7%)でした。
困る場面や症状
のぼせや熱中症のような症状が63人(39.1%)、発熱との区別がつかず処置を判断できないが61人(37.9%)、てんかん発作を誘発するが53人(32.9%)でした。通所、通学、受診の可否を判断しにくい、受け入れを断られる、帰宅を促されるという回答も多く、体調だけでなく教育や支援サービスの利用にも影響が出ています。
考えられている原因
本人の体質が68人(42.2%)で最も多く、トピラマートによる発汗抑制が58人(36.0%)、ゾニサミドによる発汗抑制が40人(24.8%)でした。これらは回答者の認識を集計した結果であり、医学的に原因を確定したものではありません。
実際に行っている対策と、医師が推奨する具体的なアプローチ
今回のアンケートでは、日常の中でさまざまな工夫や対策が行われていることが浮き彫りになりました(※複数回答。対策を行ったという回答の数であり、効果が確認された人数や家庭内限定の数値ではありません)。
ここでは、皆さんが実際に行っている具体的な方法を振り返りながら、作成したパンフレット等において医師も推奨している効果的なアプローチを詳しくご紹介します。
1. 冷却用品を使った効率的な体温調整
【回答数:134件 / 83.2%】
最も多くの方が取り入れていたのが、保冷剤やクールベストなどの冷却用品の活用です。ただし、冷やし方には注意が必要であり、パンフレットでは以下のポイントが推奨されています。
- 太い血管の部位を冷やす: 保冷剤はそのまま当てるのではなく、必ずタオルなどに包んで、首の横、脇の下、太ももの付け根(鼠径部)など、太い血管が通っている場所を冷やすことで、効率よく血液を冷やして体温を下げることができます。
- 急激な冷やしすぎに注意: 冷やしすぎによる皮膚のトラブルや冷えを避けるため、状態をこまめに確認しながら使用することが大切です。
2. 涼しい場所への移動と、衣服・環境の調整
【回答数:130件 / 80.7%】
室内にこもった熱を逃がしたり、直射日光を避けたりする環境調整も多く実践されています。
- 速やかな環境変化: こもり熱を感じたら、速やかに冷房の効いた涼しい部屋や日陰へ移動させることが基本となります。
- 衣服をゆるめて熱を逃がす: 衣服が熱を閉じ込めていないか確認し、ボタンを外したり脱がせたりして、体にこもった熱が外へ逃げやすいよう工夫します。
3. こまめな水分補給の徹底
【回答数:86件 / 53.4%】
冷たい飲み物などを活用した水分補給も重要な対策として挙げられています。
- こまめな水分・ミネラル補給: 汗をかきにくい体質や状況であっても、体内の水分バランスを保ち脱水を防ぐため、喉が渇く前からのこまめな水分補給が大切です。パンフレットでも、毎日の大切な対応として位置づけられています。
4. 気化熱を利用したクーリング(冷却)の工夫
【回答数:47件 / 29.2%】
水を使った気化熱の仕組みを応用している方もいらっしゃいます。
- 濡れタオルや霧吹きの活用: 霧吹きで体に水をかけたり、濡らしたタオルで優しく拭いたりした上から、扇風機やうちわで風を送ることで、水分が蒸発する際の「気化熱」を利用して効率よく体温を下げることができます。
このように、ご家族の皆さんはさまざまな知恵を絞り、冷却や環境調整、水分補給に取り組まれています。一方で、こうした方法を試してもなかなか体温が下がらなかったという声もありました。対策を行った後も、本人の表情や呼吸、発作の兆候など、お子様の様子を注意深く見守ることが非常に重要です。
困りごとと必要な支援
効率的に放熱する方法を知りたい人が119人(73.9%)で最多でした。発熱との見分け方は85人(52.8%)、抗てんかん薬による発汗抑制を和らげる方法は64人(39.8%)、熱中症との見分け方は62人(38.5%)でした。家庭で使える具体的な対処情報に加え、学校、園、通所先、医療機関に説明しやすい資料が求められています。
自由記述から見える当事者と家族の声
自由記述は25件でした。公開にあたり、固有名や希少な病歴の組み合わせから個人が推測されないよう、原文の引用は避け、複数の回答をまとめて要約しています。
- 学校や通所先に説明しても、感染症による発熱との違いが伝わらず、迎えを求められることがある。
- 安全を優先すると外遊びや集団活動から外れやすく、参加機会との両立に悩む。
- 冷やしすぎも避けたい。本人に合う冷やし方や用品選びの目安がほしい。
- 服薬中止後も体温調節の難しさが残ることがあり、薬の影響がどのくらい続くのか知りたい。
- 本人が暑さや苦しさを言葉で伝えにくいため、体温や危険サインを把握する方法がほしい。
これらは一人の発言をそのまま引用したものではなく、複数回答の趣旨を保った匿名要約です。
まとめ
今回の回答では、うつ熱で困った経験がある人が79.7%を占めました。困りごとは体温上昇だけにとどまらず、発作への不安、発熱との見分け、通所や通学の判断、施設側の理解、活動参加の制限に広がっています。必要とされているのは、効率的な放熱方法、発熱や熱中症との見分け方、薬剤による発汗抑制に関する情報、そして家庭と学校や支援施設が共通に使える説明資料です。
そしてこの度、説明資料としてお使いいただけるうつ熱に関するパンフレットが完成いたしました!配布についてはまたご案内させていただきます。
調査と集計の注意点
- 有効回答は202件です。回答者は全員、難治てんかんの患者本人または家族と回答しました。
- 経験者向け設問の母数は161件です。自由記述の母数は記入者25件です。
- 複数回答設問は合計が100%を超えます。
- 病名欄はフォーム改訂で2列に分かれていたため、回答者ごとに一つの病名として統合しました。
- 調査時期、年齢、性別、地域、重症度は元データに含まれていません。
- 回答者の認識を集計した記述統計であり、医学的な因果関係や治療方針を示すものではありません。
