昨年度の政府への陳情まとめ

 

てんかん児の学校や保育所、幼稚園での生活には様々な制限があることが多く、役員会では会員の意見を元に現状をより良く変えるべく外部に向けて積極的に活動しています。

ウエスト症候群患者家族会としては、会員のお子さんをはじめとするてんかん児の就園、就学問題改善のため、ドラベ症候群患者家族会と共に「てんかん対策推進プロジェクトチーム(てんかんPT)」への意見提出、野田聖子衆議院議員への陳情を行ってきました。
2017年4月11日、てんかんPTのヒアリングに会長、副会長が出席し、同年5月25日、てんかんPTより「てんかん対策の推進に向けた提言」が政府に提出されたことは以前当会ブログにて報告しておりました。

今回はまだ報告していなかった、2017年6月2日の「野田聖子衆議院議員への陳情」について報告させて頂きます。

当会から衆議院議員の野田聖子先生には、てんかん発作ガイドラインの作成と、学校・保育所・幼稚園でのてんかん頓服坐薬の対応、そして、てんかんの既往で入園通園通学が制限されないようお願いをしました。

医師の指示により坐薬が必要な患者の場合に限り、てんかん発作が続く際には、一般的に頓服の坐薬を使います。家庭では家族が入れていますが、これまで、学校・保育所・幼稚園等でてんかん発作を起こした際には坐薬は使用せず救急要請するのみでした。てんかん発作が続くと脳にダメージを与えることもあるため病院での処置を待たず一刻も早く、坐薬を使用する必要があります。

てんかん頓服の坐薬に関しては、過去に「医療行為に当たるので使用できない」「坐薬を預かれない」と学校等から断られていたものを、2016年2月29日に文部科学省から出された「学校におけるてんかん発作時の坐薬挿入について」という通達によって、条件を満たせば医師法違反には当たらないので必要な時に使用するよう指導がされていました。

しかし、実際のところ、「どれがてんかん発作か分からないから使えない」という先生も多く、通達が出ていても「施設長判断により使用不可」と言われた、という報告もありました(ドラベ症候群患者家族会より)。

そのため、文部科学省だけでなく厚生労働省も一緒に通達し、それに則って現場が対応するように周知徹底してほしいというもう一歩踏み込んだお願いをいたしました。

また、その通達のみでは坐薬が必要な時に使用してもらえるとは考えにくく、より根本的な問題解決に近付けるため、国から「てんかん発作の対応ガイドライン」を出してほしいという要望も出しました。

このガイドラインができることで、
・坐薬を預かっている先生たちが坐薬を使用するタイミングや方法を知ることができる。
・てんかん児の対応方法がわからないからという理由での入所入園の拒否が少なくなる。
・現状では障害児の母親の就業率は低いが、これによって就業できる母親が増える。
というてんかん発作時の的確な対応のみならず、てんかん児家庭におけるQOL向上が期待できるのではないかとお伝えしました。

衆議院議員の野田聖子先生はさすがに現状をよくご存じなので話のご理解も深く、とても親身になって話を聞いてくださいました。本当にありがとうございました。

そして、2017年8月22日、文部科学省より再度「学校におけるてんかん発作時の坐薬挿入について」の通達が出されました。なお、同日付けで、内閣府、文部科学省、厚生労働省より「教育、保育施設におけるてんかん発作時の坐薬挿入に係る医師法第17条の解釈について」という通達も出されました。そのなかでは、以前の内容に加え、保育園、幼保連携型認定こども園、放課後児童健全育成事業、放課後子供教室等におけるてんかん発作時の坐薬挿入についても言及され、学校だけでなく、保育施設等においても坐薬の預り、てんかん発作時の坐薬挿入の対応をして頂けることになりました。




学校や教育、保育施設等におけるてんかん発作時の坐薬挿入については、当会発足前よりドラベ症候群患者家族会の方々が陳情し続けてくださっていたことです。今回、当会にもお声がかかり、このような活動に関わらせて頂き、こうして要望が形になっていくことに胸が熱くなりました。個々の力だけでは成し得なかったことが、患者家族会という団体になったからこそ、患者やその家族の思いをつなぐことができたのではないかと感慨無量です。

ウエスト症候群患者家族会

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket