ウエスト症候群とは

  • 小児のてんかんの一種で「点頭てんかん」ともいいます。
  • ウエスト症候群の発作は一般的なてんかん発作とは違うため「変なクセ」だと思い、発見が遅れることがよくあります。(例:「頭がよくカクンとなる」「何度もバンザイする」「頻繁にビックリする」「シャックリばかりする」など)
  • 患者の多くは生後すぐから1歳ごろまでに発症します。
  • 3,000人~4,000人に1人と、子どもの発症する難病のなかでも比較的患者数の多い病気です。
  • 基礎疾患が原因で発症する場合もありますが、原因不明のことも少なくありません。
  • 親族にてんかんの方がいなくても発症します。
  • 診断が難しく、専門医による診察が必要です。
  • 早期治療が非常に大切な病気で、治療開始時期が病気の経過に影響します。

ウエスト症候群かな? と思ったら

  • 疑わしい動作がある場合はその様子を動画で撮影しましょう。
  • 地域の小児科・小児神経科で診察を受けましょう。(動画があれば持参しましょう)
  • 必要があれば紹介状を書いてもらい、最寄りの小児神経専門医が在籍する病院を受診しましょう。
  • もし初めて受診した病院で「しばらく様子を見ましょう」と言われても、不安であれば再度別の病院を 受診したり、専門医への紹介を依頼しましょう。「念のため」の紹介状が早期発見につながることも少なくありません。

これらは 「ウエスト症候群」 の症状かもしれません

発作の例

モロー反射のような動きを一定のリズムで繰り返す。

頭を何度もコクン・コクンとうなずかせる、眼球が繰り返しギョロリと上転する。

症状の例

元気がなくグッタリしている、原因なく泣き叫ぶことが急に増えた。

首の据わりが悪くなった、笑わなくなった、など発達の退行。

診断を受けたお子さんの体験談

娘が「変な動き(発作)」をしたのは生後6か月目前でした。発見した2日後、娘の「変な動き」を撮影し、近くの小児科を受診しました。娘の様子が普通ではないと強く感じ、専門医への紹介を強くお願いしました。即日行った紹介先病院での診断は「ウエスト症候群」でした。その後治療が効果を上げ、娘は発作抑制6年を迎えます。医院と病院のスムーズな連携のお陰と感謝しています。この疾患が広く知られ、早期紹介・診断・治療が増えるように願ってやみません。

地域の開業医より

ウエスト症候群は、昔に比べれば発症早期に治療を行うことにより発作や発達の予後の改善が期待できるようにもなりました。発症から治療開始までの時間は、数週の違いが大きな違いとして感じられることも稀ではありません。
「おかしいな?」と思ったら、症状をビデオに撮影し、かかりつけの先生や開業医の先生に相談しましょう。ただ、ウエスト症候群の発作症状は経験がないと発作だと判断するのが難しいこともあります。不安であれば小児神経科やてんかんの専門医に紹介状を書いてもらいましょう。

小出先生

小出内科神経科
副院長 小出 泰道

専門医からのメッセージ

「生後4か月からうなずく様な動作を繰り返し、はじめは“くせ”と思ったが、それが病気の始まりだった。」と、1841年に英国の医師、W.J.Westが我が子の症状を特異な乳児けいれんとして医学誌に報告し、West症候群という診断名の由来になりました。この時、West先生もより良い治療を求め遠路複数の専門医を受診しました。170年経た現在、専門医へのアクセスは格段に改善しています。1日2日を争って救急受診する必要はないですが、早期の専門医受診が望まれます。現在でも受診までに数ヶ月以上要することがまれではありません。Web公開の専門医情報を活用し、近隣専門医へ早期の紹介受診を!

浜野先生

埼玉県立小児医療センター 神経科
科長 浜野 晋一郎

ウエスト症候群と診断されたら

ウエスト症候群と診断されたら、すぐに検査や入院治療が開始されます。初期は不安も多いと思いますが、ネットの情報や周りの心配する声に動揺しないで、信頼できる専門医の先生と一緒に最善の治療をしていきましょう。ウエスト症候群を起こしている原因は?発作の種類は?それらの情報は最善の治療に必要です。

高橋先生

独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 院長 高橋 幸利

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